FUJIROCK2022 道中プレイリスト解説

はじめに

この記事を読んでいる2022年のフジロックに参加するいつもの皆様へ。今頃車は苗場へ向かっているところでしょうか。それとも全ての日程を終えて帰路の途中でしょうか。私は家庭の事情で参加を断念しましたが、心だけは共に苗場にあろうと決めておりましたので今年も僭越ながら車内BGMとして10曲選びました。車内の話題の一つとして盛り上がりに少しでも寄与できれば幸いです。

プレイリストはApple Music、Spotifyとご用意しておりますので、いつもの皆様もそうでない皆様もお好みのプラットフォームでお楽しみください。

M01 「はじまり」 THE SPELLBOUND / THE SPELLBOUND

2022年の"はじまり"はこちらの昨年のRED MARQUEEでの演奏も記憶に新しいBOOM BOOM SATELLITES中野雅之THE NOVEMBERS林祐介のユニットによるエレクトロサウンドと重厚なバンドサウンドの融合のお手本のような作品から。昨年夏時点では音源が発売されていなかったので今年のプレイリストでの紹介です。なお今年はTHE SPELLBOUNDの出演はありませんがTHE NOVEMBERSが29日(金)の14:20〜ホワイトに出演予定です。

M02 「SOS」 Midnight Grand Orchestra / Overture

2020年の10曲ではにじさんじ*1所属のVTuberへのTAKU INOUE氏による提供楽曲を紹介しましたが、こちらは昨年ソロ名義での作品も発表したイノタク氏が更に活動の幅を広げるべくホロライブ*2所属のVTuber星街すいせいとがっぷり四つとなったユニット・プロジェクトとしての楽曲。ダンスミュージックサウンドを軸としながらストリングスやドラム等の生楽器も贅沢に盛り込まれ、要所要所の聴かせどころではドラムがツインにもなっているという気合の入った一曲。

8月にはバーチャル空間からのオンラインライブも予定されており、新しいエンタメの在り方・楽しみ方の選択肢としても是非チェックして頂きたいところ。この曲以外も"強い"ボーカルとクールなトラックの楽曲ばかりなのでなんとなくVTuberという存在に抵抗がある方も楽しみやすいのでは。

M03 「Here Comes The Fake Jets」 Fake Creators / FAKE EP

もういっちょエレクトロ×生楽器という組合せの楽曲となりますが、今年のフジに登場するアクトからDE DE MOUSEとLITEのコラボレーションユニットの楽曲をご紹介。つい先日リリースされた4曲入りEPから私のイメージするLITE(ポストロック)の要素が最も強かったのでこちらを選びました。残念なことにフジロック2022真のヘッドライナーことトミー富岡の真裏なので皆様きっと観られないのではないかと思いますが個人的に凄く観てみたかったアクトでした…今後どこかで体験できることを祈っております。

M04 「ACTION (with ZAZEN BOYS)」 CHAI / ACTION (with ZAZEN BOYS) - Single

CHAIの楽曲「ACTION」をZAZEN BOYSが大胆にリアレンジした上にお馴染みの向井節全開の歌詞を勝手に付け足してしまったコラボ楽曲。ベースにあるのはゴリゴリのリズム隊と切れ味鋭いギターカッティングというザ・ザゼンボーイズといった雰囲気のトラックと向井秀徳のリリックではありますが、CHAIのボーカルが不思議とマッチして謎の中毒性が生み出されているように感じます。CHAIの4人とサングラスのおじさんが戯れるキュートなMVにも登場する2021年最も良いプリクラ画像も必見。

www.youtube.com

M05 「いえない (Glitch Night mix) feat. 堂村璃羽, 301, GeG, 安本彩花」 MAISONdes / いえない (Glitch Night mix) - Single

アーティスト名は"メゾンデ"、と読みます。是非覚えておきましょう。『「どこかにある六畳半アパートの、各部屋の住人の歌」をコンセプトに、楽曲ごとに「歌い手」「作り手」を替えて発表する*3』という音楽プロジェクトだそうです。

「春を告げる」でお馴染みのyamaさんも101号室に入居していますが、紹介するのは変態紳士クラブのGeGらが入居する301号室の楽曲を更に私立恵比寿中学安本彩花がリミックスしたバージョン。かねてからDTMを趣味と公言し自身の生誕イベントの度に自作の楽曲を披露してきた安本女史ですが近年の発表曲はアレンジのクオリティも格段に上がっており、遂に単独でリミックスの案件を勝ち取るまでに成長されました。若年層がターゲットのユニットの見聞を皆で広げつつ、作詞作曲するアイドルは数あれどDTMで自ら編曲してそれなりのクオリティで一曲完パケしちゃうメジャーアイドルってまだまだ隙間があるよね、という話題で盛り上がるための選曲でした。

M06 「Just do like that」 どんぐりず / 4EP2

私の生まれ故郷である群馬県桐生市の音楽カルチャーが今熱い、ような気がします。mabanuaが市内にプライベートスタジオを建てたことがテレ朝系『関ジャム 完全燃SHOW』で取り上げられ私の親戚筋でもにわかに話題になったのですが、いよいよ今年は桐生出身二人組HIP HOPユニットどんぐりずをフジロックに送り込むことに成功。レペゼン桐生として頑張って頂きたく選曲しました。土曜日の深夜にNight Tempo、パソコン音楽クラブと並んでRED MARQUEEのステージに立つ姿は是非見てみたかったです。

M07 「Go Mistake」 xiangyu / はじめての〇〇図鑑

「あれ?水曜日のカンパネラ?」と一瞬でも思った貴方の感覚は流石です。ケンモチヒデフミサウンドプロデューサーに従えたシンガーソングライターxiangyuが日常の些細な瞬間をミクロに切り取り歌い上げるクセになる一曲。彼女を知ったきっかけがドトールの店内で流れていた楽曲「ミラノサンドA」だったのも完全にしてやられた感じがしたので、こちらも合わせて私のしてやられた感を皆様にお裾分けしたいと思います。

www.youtube.com

M08 「SUDEにむちゅう」 ヒロスデママ、むちゅう人たち / NHKシャキーン!「目覚めろ」

今年の3月で惜しまれながら終了してしまったEテレの朝の子供向け番組「シャキーン!」で広末涼子扮する"ヒロスデママ"が「素手」で料理・工作・自然などと向き合うコーナーのテーマソング。広末涼子本人も歌唱しており、全体の雰囲気はお聞きの通り"あの曲"のオマージュとなっております。「シャキーン!」で使われている楽曲はこの曲が収録されているアルバムだけでもKoji Nakamura、曽我部恵一怒髪天など我々世代にも馴染みの深いアーティストが参加しており、いつの間にかサブスクでも聴けるようになっていたので是非他の楽曲も聴いてみてはいかがでしょうか。

NHK Sha-keen! Mezamero (Audio Version)

NHK Sha-keen! Mezamero (Audio Version)

  • Various Artists
  • チルドレン・ミュージック
  • ¥1935

music.apple.com

open.spotify.com

M09 「MajiでKoiする5秒前銀杏BOYZ / GOD SAVE THE わーるど - Single

で、そんな"あの曲"が2021年に青春日本代表銀杏BOYZ峯田和伸くんにカバーされていました。「銀河鉄道の夜」とか「BABY BABY」みたいな甘いメロディと峯田の声って凄く相性がいいよね、なんてことを話していたタイミングで偶然流れてきて思わず膝から崩れ落ちてしまいました。ご存知の通り友達以上恋人未満の男子と渋谷でデートして盛り上がる女の子の気持ちを歌った曲ですが、彼が歌うことで田舎の少年が妄想する都会の少女の恋物語という新たな解釈が生まれたような気がしてなりません。

M10 「セカイセイフク」 SUNPRIE / perro

最後はあいみょんのサポートでお馴染みのPOLLYANNAクロサワ君とPOLLYANNA初代ボーカルの深澤希実を擁する若い世代のバンド"サンプリエ"です。君はギターソロなんて聴かない、という話題があったようななかったような昨今ですが、EP全体を通してギターポップはまだまだしぶとく生き続けると思わせてくれた作品。なんだかんだ言っても結局「イントロ!Aメロ!Bメロ!サビ!Aメロ!Bメロ!サビ!ギターソロ!サビ!アウトロ!」で歪んだギターが鳴っているエイトビートを聴けば僕らはいつでも2000年代初頭の気持ちで気持ちよくなれるのです。表題曲の「perro」もオマージュたっぷり(だと思う)でニヤリとする仕上がりなので是非EPまるごと聴いてみてください。

 

以上、今年の10曲でした。フジロックに参加した皆様が無事に全ての行程を楽しみ戻って来られますことを願っております。

*1:VTuberを専門とした芸能事務所。お笑い芸人で例えると松竹芸能

*2:VTuberを専門とした芸能事務所。お笑い芸人で例えると吉本興業

*3:Wikipediaより